これからのインバウンドはどうする?国のインバウンド事例を紹介

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国内における現在のインバウンドの状況は、新型コロナウィルスの流行前と比較して大きく変化しています。

渡航制限などの影響でインバウンド需要は大幅な落ち込みを見せ、いつになれば回復が見込めるのか不安に思っている方も多いでしょう。

この記事では、政府が行っているインバウンドの施策事例を交えて、インバウンド需要回復に備えるポイントについて紹介します。

国内におけるインバウンドの状況

国内におけるインバウンドの状況は、コロナ以前と2021年2月現在において、訪日外国人観光客数に大きな差ができています。

今後の動向を判断するためにも、まずはコロナ前とコロナ後のインバウンドの状況について確認していきましょう。

コロナ以前までは訪日外国人の増加が顕著

2018年には、年間約3,000万人という訪日外国人数が記録され、2020年の東京オリンピック開催も後押ししてさらに増加することが見込まれていました。

日本政府はインバウンド需要の増加を見越してさまざまな施策を行い、受け入れ態勢の強化を図っていたのも事実です。

しかし、新型コロナウィルスの世界的な流行をきっかけに、世界各国で渡航制限がかかり、外国人旅行者の受け入れが困難になりました。

その結果、2020年~2021年にかけて、日本では過去に例を見ない大幅な訪日外国人数の落ち込みを見せています。

コロナにより訪日外国人の数が減少

コロナウィルスによって訪日外国人数の減少は、数値で見るとその違いは明らかです。

日本政府観光局のデータによると、2020年12月時点の訪日外国人客数は前年同月比-97.7%の58,700人になっています。[1]

コロナ前の数字と比較すると9割以上減少していることがわかります。

また、2020年1月~12月の累計は4,115,900人で、前年よりも伸び率が-87.1%となっており、3,000万人を記録した2018年度と比較してもその差は歴然です。

しかし、コロナによる渡航制限が理由となっていることは明確であり、今後いずれ回復していくことが予測されています。

そのため、国内向けのニーズを開拓して経営を維持しつつ、インバウンド需要の回復を見越して政府のインバウンド事例をチェックしておくと良いでしょう。

活用できる助成金などの制度はないかなど、インバウンド需要が回復した際のスタートダッシュを図るためにも少しずつ準備しておく必要があります。

政府のインバウンド事例①地方創生

政府が行っているインバウンドの事例にはいくつかの種類があり「地方創生」はそのひとつです。

ここからは、政府のインバウンド事例の中で地方創生を目的に行われた施策について紹介します。

魅力的な公的施設・インフラの公開

政府や地方自治体が所有している公的な施設は、普段一般向けに公開されていません。

そのような中で、観光資源としての魅力があるにもかかわらず公開されていない施設を可能な限り一般に開放することで、インバウンド需要を生み出す取り組みが行われています。

たとえば、京都・赤坂迎賓館などのように、試験公開を経て通年公開されているものがそのひとつです。

今後も公開可能な公的施設を増やし、テロ対策や安全確保を行ったうえで、一般公開・開放を行う施設が増加する見込みとなっています。

また、日本のインフラ設備を観光資源として活用する事例も政府が行っている施策のひとつです。

明石海峡大橋や湯西川ダムなどで観光・見学ツアーが組まれており、全国各地のインフラツアーを紹介するポータルサイトの機能強化も進められています。

観光資源や観光地の保全

文化財や歴史的建造物などは、維持・保全を行うことが最優先されてきました。

地方創生に役立てるため、このような文化財の支援を見直して観光資源として受け入れられるよう、修繕や美装化を支援する取り組みが行われています。

そのほか、2020年を目安に主要な観光地で視線を遮る電柱や電線などを含めた「景観の見直し」による広域的な景観計画を策定する動きもそのひとつです。

さらに、インバウンド向けのガイドツアーなどの開催も検討されています。

地方の魅力を発信・拡大

インバウンド需要では、近年体験型プログラムの需要が急速に伸びています。

政府によるインバウンド施策の事例にも、この体験型プログラムを地方創生に盛り込んだ取り組みが行われ、情報発信や整備支援なども活発です。

農業や漁業体験を宿泊と組み合わせた「滞在型農山漁村」など、外国人観光客に人気のある日本食を楽しむプログラムとしてインバウンドの取込みを行っています。

また、地域の農畜産物や伝統工芸品をお土産として積極的に売り込み、伝統工芸品の消費拡大や地方の商店街の活性化を図る取り組みもそのひとつです。

さらに、震災をきっかけに減少した東北の観光復興を推進するなど、全国各地でこのような事例が進められています。

政府のインバウンド事例②観光産業の革新

政府のインバウンド事例は地方だけでなく、観光産業そのものにまでおよびます。外国人旅行者が観光しやすいように、環境整備を行うこともそのひとつです。

ここからは、政府のインバウンド事例の中で「観光産業の革新」を目的として行われている施策や事例について紹介します。

民泊サービスの法整備

インバウンド需要の中で、外国人旅行者のニーズが高い「民泊サービス」を可能とする法整備も政府による事例のひとつです。

衛生面やテロ対策、悪用防止のための安全確保に加え、地域住民と旅行者のトラブルを防止するためのルールづくりが積極的に行われています。

ビザの緩和

インバウンドの呼び込みを図るため、外国人旅行者が訪日しやすいようにビザの緩和を行う施策も活発です。

ビジット・ジャパン事業として、訪日を促すプロモーションを重点的に行っている国のうち、15か国の地域はビザが免除されています。

さらに、ビジット・ジャパン事業の重点国の中で、ビザが必要な中国・ベトナム・フィリピン・ロシア・インドの5か国のビザ緩和を戦略的に実施する形です。

ビザの緩和だけでなく、日本への認知度を高めるためのプロモーション活動なども、包括的に進められています。

観光経営人材の育成

観光経営を行う人材の育成を重点的に進める施策も、政府が行っている事例のひとつです。

トップレベルの経営者から地域で働く実践的な観光人材にいたるまで、観光業に携わる人材の育成を強化する取り組みが行われています。

たとえば、大学の観光学部のカリキュラムを変革することで、観光産業界のニーズに即した即戦力人材の育成を目指すこともそのひとつです。

これらの施策を政府主導で資金面や法整備などで支援し、積極的にインバウンドを取込む働きかけが行われています。

政府のインバウンド事例③快適に観光できる環境の整備

インバウンド需要や外国人旅行者の満足度を高め、快適に観光できる環境整備の支援や推進も活発に行われています。

ここからは、政府の事例として「通信環境」「キャッシュレス」「インフラ整備」「多言語対応」の4つの施策を紹介します。

通信環境

通信環境の整備は、スマートフォンの世界的な普及を背景に、急ピッチで進められています。

とくに、スマートフォンで情報収集などを行う外国人旅行者のニーズを満たすために、Wi-Fi環境の整備は重要視されています。

また、観光客向けのプリペイドSIMの販売拠点を倍増させる計画もあります。

グループ旅行者だけでなく、バックパッカーのようなひとりで観光地を巡る需要の創出にも役立つでしょう。

キャッシュレス

日本ではキャッシュレス決済の普及が海外より遅れており、観光業界でも問題視されています。

そのため、3メガバンクの海外発行カードに対応したATMを設置することにって、キャッシングやクレジットカード利用を行いやすくする施策が行われています。

また、宿泊施設や観光スポットで100%クレジット・IC対応を実現させるなど、ストレスなく支払いが行えるような環境整備を行う動きも活発です。

インフラの完備

インバウンド需要のニーズを満たすため、新幹線や高速道路などの交通網の完備や地方空港のゲートウェイ機能を強化するなど交通インフラの整備も進められています。

首都圏の空港に集中する現状を緩和し、地方に分散させ、地方から地方への移動をスムーズにするためのものです。

また、アジア圏で増大している大型クルーズ船の受け入れ寄港地を拡大し、国内クルーズ周遊ルートの開拓なども積極的に行われています。

多言語対応

外国語に対応した案内サイトやパンフレットなどを作成し、多言語対応を取り入れる動きも活発です。

多言語による情報発信を積極的に行い、中小企業がもつWebサイトの多言語化や海外での多言語広告を支援することで、ニーズを拡大する狙いもあります。

通訳アプリや翻訳機の導入を行うところも増加していますが、観光地での多言語対応を図るのであれば「クラウド通訳」が便利です。

機械的な通訳における微妙なニュアンスの違いも、クラウド通訳であれば生身の翻訳者が対応するためスムーズにコミュニケーションを図ることができます。

観光地で働く労働者にとっての強い味方にもなるため、積極的なコミュニケーションにより多言語での「おもてなし」が実現できるのではないでしょうか。

まとめ

政府によるインバウンドの事例は、都市部だけでなく地方でも活発に行われており、施策の種類は多岐にわたります。

コロナによるインバウンドニーズの減少が回復すれば、外国人旅行者を受け入れる観光業界はさらに成長産業のひとつとして日本経済の柱になっていくでしょう。

そのような流れに乗りうまくインバウンド需要を取り込むためにも、企業や事業者単位で受け入れ態勢を整えていくことが重要です。

▼出典
1.日本政府観光局「訪日外客数の動向(国別/月別訪日外客数2003~2020年)」

(上記掲載の内容は、掲載日時点のものです。あらかじめご了承ください。)