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ウィズコロナ時代にやるべき地方のインバウンド対策6選

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、人々の生活様式は大きく様変わりしました。多くの企業や店舗でもコロナと向き合った営業方法が求められています。
外国人観光客をメインターゲットとしている地方の企業や店舗の場合、国内外の両方に通じる対策を講じなければなりません。
ここでは、ウィズコロナ時代だからこそ力を入れるべき地方のインバウンド対策について、具体的な6つのポイントをあげて紹介します。
コロナ後、地方へのインバウンドの需要はどう変わる?
近年は日本産製品への信頼度の高さやほかの国にはないジャパネスクデザイン・文化の魅力によって、インバウンド需要が著しい成長を見せていました。一部の訪日客による爆買いなどは落ち着きを見せつつも、訪日観光客数は高い数字を推移し続けていたものです。
しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う各国での出入国規制やロックダウンが災いして、現在は外国への旅行者数が急激に低下しています。
コロナ終息後も、感染予防を前提とした新しい生活様式は続くでしょう。よって、従来どおりの施策ではなく、地方へのインバウンド需要が今後どのように変化するのかを視野に入れた対策が必要です。
これまでの地方インバウンドの動向
観光庁が発表した資料によると、2018年日本の地方都市における外国人観光客の数は、3大都市を訪れた外国人観光客に比べて1.4倍でした。[1]
地域別で見ると東北地方や中国地方が特に多く、各宿泊施設の利用者は外国人観光客が前年比21%以上を記録しています。
中国・台湾・韓国と周辺アジアからの旅行者が大半を占めており、中国と台湾からの旅行者にいたっては全国各地域へまんべんなく訪れている傾向にあります。(韓国からの旅行者には九州が人気)
全体に見られる最大の特徴は、従来の「モノ消費」から「コト消費」へ変化していることです。
以前は化粧品や薬、電化製品を中心とした爆買いが主流でしたが、近年は温泉や自然のアクティビティの人気が高まっており、旅行先にも影響しています。スキー・スノーボードが最も高い人気を見せ、体験したと回答した外国人観光客は90%弱という多さでした。
日本食を食べることやショッピングを目的とした観光客も少なくはありませんが、2014年時の調査と比べると、「コト消費」への需要と比率が反転した結果となりました。
コロナ後の地方インバウンドの動向
新型コロナウイルスの世界的流行が終息した後は、「感染への不安がある」としながらも、欧米・アジアのいずれも高い割合で海外旅行を希望する声があります。
コロナ後に訪れたい国に関する調査で、アジア人からの回答で日本は1位(欧米豪では2位)を誇りました。[2]
日本が世界的に高く評価されている点は、その清潔さです。今後は衛生面への配慮が旅行先の決定に影響すると予想されます。そのため、清潔なイメージの高い日本は外国人観光客に選ばれやすいといえるでしょう。
さらに、3密を避ける目的で東京や大阪、京都など定番の都市は避ける動きがあることも考えられます。多くの人との接触を避けられる地方は、より注目される可能性が高いでしょう。
高所得者が旅行者の中心となることも影響し、コロナ後の旅行の需要は「安価よりも高価」「短期滞在よりも長期滞在」へシフトすると見込まれている点も大きな特徴です。
よって今後は従来以上の衛生面への配慮と、文化体験の充実などショッピング以外の楽しみが求められます。

地域活性化につながる!地方でやるべきインバウンド対策6選
地方において外国人観光客の集客を行うには、コロナ後の人々の傾向を分析し、最適なインバウンド対策を取り入れることが重要です。
対策の多くは日本人観光客に対しても有効のため、将来的に国内外の観光客が訪れ、地域活性化につなげられるようにしましょう。
この項目ではコロナ後の生活様式を視野に入れたインバウンド対策として、代表的な6つの方法を紹介します。
1.感染症対策の「見える化」
対策をきちんと行っていても、目に見えなければ観光客の不安を拭うことはできません。地域全体で、あるいは店舗ごとに行っている感染症対策は、積極的に「見える化」しましょう。
対策を情報発信することにより、外国人のみではなくすべての観光客が旅行先として検討しやすくなります。具体的な方法は、以下のとおりです。
・ホームページに感染防止策の内容を記載
・対策や現在の状況を動画などで発信
どのような対策を取っているのか、具体的に内容をホームページに記載しましょう。目立つ場所に内容を記載することで、しっかりと感染対策を取っていることのアピールにもなります。
言語を伴わなくても理解できるよう、イラストや写真、動画などを多用して視覚的にアプローチすることもおすすめです。
2.SNSの活用
旅行先の情報収集に、SNSは多くの人々に活用されています。現地の様子や利用者のリアルな声を知ることができるツールは、旅行先を検討している外国人の好奇心を強く刺激してくれます。
地方や地元団体、店舗など専用アカウントを作成して、情報を発信しましょう。画像や動画を活用し、雰囲気やイメージが伝わるような内容を意識することがポイントです。
また、コロナ禍の現在は、観光客が少ないことを逆手にとって宣伝用の写真を撮りなおすチャンスでもあります。観光客で込み合っていた地域の本来の景色を、パンフレットやポスター用に改めて撮影しなおしてはいかがでしょうか。
3.越境ECサイトの活用
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、新たにお取り寄せやデリバリー事業を始めた企業や店舗もあります。しかし、それらの多くは国内や地元の利用客のみを想定しています。
外出や旅行の自粛によってお取り寄せの需要が増加したのは、日本国内のみではありません。外国からの需要にも対応するには、海外発送も可能な越境ECサイトを活用することが有効です。
訪日できない外国人に対して地方の特産品をアピールできるうえ、国内需要が落ち込んだ商品の新たな販売ルートを得られる可能性もあります。
4.そこにしかないコンテンツの充実
コロナ後だからこそ、現地でなければ味わえないものや得られない体験が重視されます。訪れなければ楽しむことのできないコンテンツを充実させることで、「この土地を選んで良かった」とファンやリピーター獲得にもつながります。
具体的な方法は、以下のとおりです。
・地域の特産品を活かしたサービスの提供
・体験プログラムの提供
先述した調査では、コロナ後に行きたい国として日本を旅行先に選んだ人の多くが、食事やアクティビティ、買い物など、その国独自のサービスを求めています。
今後は外国人観光客から地方へ求められているもの、人気のあるコンテンツを分析したうえで、より充実させる施策が必要です。
5.周遊タクシーとの連携
魅力的なコンテンツを有しながら、電車やバスなどの公共交通機関が充実しておらず、観光客獲得に苦戦しているケースもあるでしょう。このような状況を解決するにあたり、周遊タクシーとの連携によって、交通の問題に対応する方法はいかがでしょうか。
電車やバスが少ない地域ならではのサービスとして注目されることが期待できます。自由度の高いサービスを提供することで、一般的にアクセスが良くないとされるエリアにも訪問を促せるうえ、地元住民とのコミュニケーションを体験してもらえる方法です。
6.多言語への対応
インバウンド対策の問題としてあげられやすい点が、言語対応の不十分さです。外国語での接客に慣れている人材を雇用せずとも、街中のあらゆる表示に配慮するだけで外国人観光客の印象は大きく変わります。
外国でのスタッフとのコミュニケーションを楽しみとしている層や、サービス充実のためには言語表示の少なさや対応の不十分さは大きな課題です。
外国語による会話に慣れていない場合は、以下のような対策を取ってみましょう。
・WEBサイトやメニューを多言語化する
・店内に外国語POPを設置する
・指先会話シートを作成する
メニューやPOPを多言語対応することは、視覚的に外国人観光客を歓迎している気持ちも伝わりやすく、簡単なコミュニケーションを指差しでできる利便性もあります。
そのほかにも、インバウンド集客のポイントについては、下記の記事で詳しく紹介しています。効果的にインバウンドを集客する具体的な方法も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:
・コロナでどう変わる?インバウンドの効果的な集客方法
まとめ
今後の日本の観光業において、新型コロナウイルス対策をふまえた、地方を中心としたインバウンド対策は課題となっています。
感染リスクの高さから都市部や有名観光地は敬遠されやすく、旅行者の関心は地方へ集まることが予想されます。
ウィズコロナ時代に外国人観光客を獲得するには、多言語化など従来の対策はもちろん、感染症予防も視野に入れた施策や情報発信、その土地でしか得られないコンテンツの充実化を図りましょう。
▼出典
1.観光庁「令和元年版観光白書について」
https://www.mlit.go.jp/common/001294371.pdf
2.日本政策投資銀行「DBJ・JTBF アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査」
https://www.dbj.jp/upload/investigate/docs/00aebbaf408e3e27fc3ac58b7e9f992b_1.pdf

(上記掲載の内容は、掲載日時点のものです。あらかじめご了承ください。)