外国人とのコミュニケーション | 日本語の教え方のコツ

日本語をカタコトで話す外国人と接する際に課題となるのが、日本語での教え方です。わかりやすく答えたつもりでも相手に伝わっていないこともあり、どのように教えると理解してもらえるのかと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、外国人にとってわかりやすい日本語での教え方のコツについて解説します。外国人目線で理解しやすい日本語を使うポイントを紹介しますので、接客などの場面でお役立てください。

外国人にとってわかりやすい日本語の必要性

近年、日本で生活する外国人の人数は増えてきています。法務省が発表している2019年の在留外国人数は約293万人[1]で過去最高となりました。

在留外国人数が増えている背景には、グローバル化少子高齢化による生産年齢人口の減少が大きく関係しています。

成功を求めて海外に目を向けている外国人と、少子高齢化によって人手不足が深刻な問題となっている日本企業とのニーズが合致し、日本で働く外国人が増えているのです。

在留外国人が日本で快適に過ごすためには、正しい情報提供が必要です。外国人に正しい情報を伝えるには母国語で伝えることが最も効果的ですが、日本で生活している外国人の母語はさまざまです。

すべての外国人に母国語で情報を伝えようとすると、翻訳作業のために膨大な時間やコストがかかるため現実的ではありません。

そのため、日本で生活している外国人が理解しやすいような「やさしい日本語」を使う必要があるのです。

法務省では多文化共生社会実現のため、「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」[2]を制定しています。ここではやさしい日本語の作成ポイントも紹介しているため、ぜひ一度確認してみてください。

外国人に日本語を教えるときの4つのコツ

外国人に日本語で教えるときは、相手がきちんと理解できているか確認しながら話すことが大事です。そのためには、相手の表情などを確認しながら話すようにしましょう。

また、「わかりましたか?」と聞くことも大事です。時々、実際には理解していないのに、わかったかのような反応をする外国人もいます。そのような人にも理解できているのか尋ねることで、「わかりません」と答える機会を与えることができるでしょう。

では、外国人に伝わる日本語の教え方とはどういうものなのでしょうか?ここでは、4つのコツを紹介します。

1.はっきり、ゆっくり話す

相手が聞き取りやすいように、ひとつひとつの音をはっきりと発音しましょう。また、単語ごとに区切って話すように意識するのもおすすめです。そうすることで、ゆっくりした話し方になり、相手に伝わりやすくなります。

たとえば、「今日は寒いので、朝から暖房を入れました。」という文章の場合は、「今日は/寒いので/朝から/暖房を/入れました」という風に区切って話します。あまりにも細かく区切ってしまうと、逆にわかりにくくなるので注意してください。

2.一文を短くする

外国人に日本語で話す場合は、一文を短くするように意識しましょう。普段日本人が使っているような長い文だと、日本語が流暢ではない外国人にとっては理解しにくいからです。

たとえば、「この道をまっすぐに行くと信号があるので、それを左に曲がり、次の信号で右に曲がると駅があります。」という文だと長すぎます。

この場合は、一文をいくつかの短い文に細かく分けるようにしましょう。

「この道をまっすぐに行きます。信号があるので、信号で左に曲がります。まっすぐに行くと、また信号があります。信号を右に曲がると駅があります。」このように一文を短くすると、理解してもらいやすくなります。

また、日本語では主語や述語を省くことが多いですが、主語や述語を省くと理解してもらえなかったり、誤解を与えたりする原因となります。

なので、外国人に日本語で教える場合は、主語と述語がわかりやすい文にするように心がけることも大切です。文末は、「~です」「~ます」「~か?」を意識すると、外国人にとってもわかりやすい文になります。

たとえば、「これ、食べる?」というと伝わりにくいので、「〇〇さんは、これを食べますか?」というと良いでしょう。「6時に帰る」の場合は、主語と文末に「~ます」を入れて「わたしは6時に帰ります」というと伝わりやすいです。

3.難しい単語・表現は簡単なものに直す

難しい単語や表現は簡単なものに直して伝えるようにしましょう。

たとえば、「納付」というと理解してもらえないこともあるので、「お金を払う」と置き換えることができます。「公共交通機関」の場合は「電車やバスなど」、「記入」の場合は「書く」、「集合」は「集まる」という風に置き換えると良いでしょう。

カタカナ語は外国からの言葉なので「外国人に伝わりやすいのでは?」と思うかもしれませんが、実はそうとはいえません。カタカナ語は日本語と外国語とで意味が異なるものもあるからです。

カタカナ語を使う場合は、できるだけ日本語に直して伝えるほうが良いでしょう。たとえば、日本語でいう「アポ」や「アポイント」だと伝わらないので「約束」としたり、「サラリーマン」も伝わらないので職業名を伝えたりすることができます。

カタカナ語のなかには、外国語とは違うのに日本語に置き換えができないものがあります。たとえば、ノートパソコンは英語ではlaptop(ラップトップ)です。ホッチキスはstapler(ステイプラー)、ガソリンスタンドはgas/petrol station(ガス/ペトロ ステイション)と異なります。

これらのカタカナ語を日本語に置き換えることは難しいですが、カタカナ語のままだと外国人には伝わらないことが多いので注意してください。

また、「しとしと」「ガツガツ」「すいすい」「そよそよ」といった擬態語や擬音語も日本語独特の言葉なので、外国人には理解してもらうことが難しいです。外国人に話す際は、擬態語や擬音語を使うのも控えるようにしましょう。

4.図やイラストを使う

難しい漢字や意味を説明する場合は、図やイラストを使いましょう。そうすれば、その言葉を聞いてわからなかったとしても、視覚的に理解してもらうことができます。

簡単な言葉に置き換えてみたり、言葉を説明してみたりしたけれど相手に通じない場合は、図やイラストを使ってみると伝わるかもしれません。

外国人と接するときの注意点

外国人と接する際には注意したい点もあります。特に日本語でのコミュニケーションがスムーズに取れない分、相手に誤解を与える可能性も高くなるので、誤解を与えないような言動を心がけたいものです。

外国人と接するときには、以下の点に注意するようにしてみてください。

アイコンタクトや笑顔を心掛ける

話すときは、相手の目を見て笑顔で接するようにしましょう。そうすることで、安心感を与えることができます。

日本人の多くは、アイコンタクトを取るとしても、目を見続けるのも失礼と考えるため程良いところで目を少しそらすのが一般的です。しかし、外国人の場合は目をそらされると、なにか隠しているような印象を受けるので、しっかりと目を見て接するようにしましょう。

日本で生活している外国人の日本語レベルもさまざまで、ある程度スムーズに日本語でコミュニケーションが取れる人もいれば、そうでない人もいます。日本語が流暢に話せない人であったとしても、子供に対するように話すのは控え、相手への敬意が伝わるような話し方を心がけましょう。

声の大きさに注意

わかりやすく話そうとすると、つい大きな声になることがあります。声が大きすぎると、相手に不快感を与えてしまうこともあるので注意してください。丁度良い声の大きさで話すように心がけましょう。

まとめ

在留外国人の増加にともない、これからも外国人と接する機会は増えてくると予想されます。あらゆる国から来日した外国人に対応できるように、わかりやすい日本語を使ってコミュニケーションを取れるようにしておくのは良いことです。

この記事で紹介した4つの教え方のコツを参考に、周りの外国人と接するようにしてみてください。アイコンタクトと笑顔を忘れずに、丁度良い声の大きさで話すことも意識できると良いですね。相手のことを思いやる優しいコミュニケーションを心がけていきましょう。

▼出典
1.令和元年末現在における在留外国人数について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00003.html
2.在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン
http://www.moj.go.jp/content/001327230.pdf
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri15_00026.html

(上記掲載の内容は、掲載日時点のものです。あらかじめご了承ください。)