災害時に役立つ英語のフレーズを知ってもしものときに備えよう

訪日観光客はもちろん、近年は外国人労働者の積極的な採用にともない、オフィスや公共施設での英語アナウンスが欠かせないものとなりました。一部の企業ではすでに社内公用語として英語を採用しているケースもあり、今後はより多くの人が日常的に英語に触れる社会となるでしょう。

しかし、ビジネスやサービスの面において英語対応の動きが盛んとなる一方で、忘れられやすいのが災害時など緊急時の英語対応です。

今回は、災害時に役立つ英語のフレーズを紹介します。社員や職員の研修項目に加えてみてはいかがでしょうか。

災害時、外国人の方への対応はできますか?

日本は地震や台風、津波など多くの災害が発生しやすい国です。近年の例をあげると、2018年の台風21号があります。台風発生時には、関西国際空港に旅客および空港職員が長時間取り残されました。

外国人の場合、以下の理由によって災害時の日本で正しい行動をとれない場合があります。

・災害時の対応を知らない
・アナウンスが理解できない
・公共交通機関や商業施設の対応について知らない

海外の国や地域によっては、台風や地震など大規模な災害を体験することが稀というケースもあります。欧州の例をあげると、スウェーデンなどは地震の発生はほとんどありませんが、イタリアは日本と同じ地震大国と言われています。

このように同じ欧州でも国や地域によって災害リスクや起こりやすい災害の種類が異なるため、防災訓練も同一ではありません。当然、日本で実施されている防災訓練と似た内容のものを体験しているとは限らないので、災害時の対応を知らない外国人もいます。

日本語自体が分からない場合は、災害時に頼りとなるアナウンスも理解できず、不安は大きくなるでしょう。

近年の日本では、台風に備えて早い段階で公共交通機関の計画運休や商業施設の休業が決定するのが普通になりました。しかしニュースでは、アナウンスを知らずに立ち往生する外国人の姿が報道されています。

このように、事前の情報周知ですら外国人利用客には届いていない状態です。

日本にいる外国人が今後も同様の事態に陥らないよう、公的機関の職員や一般企業の従業員も、できる限り災害時に役立つ英語フレーズを知っておくことが大切です。

災害時に役立つ英単語・英語フレーズ

災害後の行動ひとつで、被災者の生存率は左右されます。たとえば災害発生から人命救助までのひとつの指標として「72時間の壁」があげられますが、必ずしも救助や公的支援が72時間内に受けられるとは限りません。

災害時の混乱状態が続く中で、正しい行動を起こすためには状況確認と被災者同士の助け合いが重要です。日本人と外国人がどちらも状況を正しく理解し、次の行動をとるために、最低限の英語フレーズによる意思疎通が求められます。

この項では、災害発生時に役立つ基本的なフレーズと、5つのシチュエーション別に覚えておくべきフレーズを紹介します。

災害発生時の基本的なフレーズ

災害発生時は、まずお互いの安否確認など状況把握が重要です。同時に、体験したことのないトラブルに直面して混乱している外国人被災者の心を落ち着かせなくてはなりません。

以下のフレーズは災害の種類を問わず活用できるものです。基本的なフレーズとして、優先して覚えておきましょう。

・ケガはありませんか?
Are you injured?
(アー ユー インジュッド?)

「ケガをしている」と答えた場合は、続いて「Where does it hurt?(ウェア ドーズ イット ハート?)(どこが痛いですか)」と確認し、応急処置を行いましょう。

外見上ケガをしているように見えない場合も、内臓や血管を痛めている可能性があります。応用として「Are you feeling OK?(アー ユー フィーリング オー ケー?)(具合は大丈夫ですか)」も覚えておくと便利です。

・気を付けてください。
Please watch out.
(プリーズ ウォッチ アウト)
Please be careful.
(プリーズ ビー ケアフル)

地震後のガラスが散乱した場所を歩くときなどは、「Please be careful as you walk.(プリーズ ビー ケアフル アズ ユー ウォーク)(足元に気を付けてください)」も役立ちます。

・非常口はこちらです。
An emergency door is this way.
(アン エマージェンシー ドー イズ ジス ウェー)

・ここは安全です。
It’s safe here.
(イッツ セーフ ヒア)

・落ち着いてください。
Calm down.
(カーム ダウン)

・係員の指示に従ってください。
Please follow the staff's instruction.
(プリーズ フォロー ザ スタフス インストラクション)

近隣の施設に避難や休憩で誘導するときは、「You can take a rest at the ~ nearby.(ユー キャン テーク ア レスト アット ザ ~ニアバイ)(この近くの~で休憩できます)」を活用してください。

たとえば市役所の場合は「You can take a rest at the city hall nearby.(ユー キャン テーク ア レスト アット ザ シティー ホール ニアバイ)」で、近くの市役所で休憩できることをアナウンスできます。

地震に関するフレーズ

数年のうちに大規模な地震が起こると囁かれている現在、地震に関係する英語フレーズは優先的に覚えておくべき内容です。

・地震です。
It’s an earthquake.
(イッツ アン アースクェーク)
Earthquake!
(アースクェーク!)

地震発生後に状況説明のアナウンスをする場合は、「There was an earthquake.(ゼア ウォズ アン アースクェーク)(地震が発生しました)」となります。

・机の下に隠れてください。
Get under the table.
(ゲット アンダー ザ テーブル)

「頭を保護してください」と付け足したいときは、上記のフレーズの前に「Please protect your head and~(プリーズ プロテクト ヨー ヘッド アンド~)」を加えましょう。

・余震に気を付けてください。
Please watch out for the aftershock.
(プリーズ ウォッチ アウト フォー ジ アフタショック)

・津波が来ます。高台に避難してください。
There’s a risk of a tsunami. Please evacuate to higher ground immediately.
(ゼアズ ア リスク オブ ア ツナミ. プリーズ エバキュエート トゥ ハイアー グラウンド イミーディアトリー)

地域によっては、地震にともなう津波の危険性についてもアナウンスする必要があります。倒壊の可能性がある建物内にいる場合は、即座に外へ出てもらうよう「Please escape from this building immediately.(プリーズ エスケープ フロム ジス ビルディング イミーディアトリー)(ただちにこの建物から出てください)」を活用してください。

大雨・洪水に関するフレーズ

台風に限らず、近年は異常気象による大雨や洪水が発生する可能性があります。台風を経験したことのない外国人は「激しい風雨が発生する」程度の認識を持っている場合も多いため、積極的に避難や対策を誘導しなければなりません。

・台風が近づいています。
Typhoon/Storm is coming.
(タイフーン/ストーム イズ カミング)

・氾濫の危険があります。川に近づかないでください。
There is a risk of a flood, so please stay away from the river.
(ゼア イズ ア リスク オブ ア フラッド, ソー プリーズ ステー アウェー フロム ザ リバー)

・土砂崩れの危険があります。山に近づかないでください。
There is a risk of a landslide, so please stay away from the mountains.
(ゼア イズ ア リスク オブ アー ランドスライド, ソー プリーズ ステー アウェー フロム ザマウンティンズ)

ホテル等から出ようとする相手には、「I strongly recommend you stay in the~(アイ ストロングリー レコメンド ユー ステー イン ザ~)(~の外に出ないよう、強くおすすめします)」と、外出を控えるよう伝えるアナウンスもおすすめです。

火事に関するフレーズ

災害にともなう漏電などで、普段は火の気のない場所も火事に見舞われる場合があります。火の勢いによっては数分で広範囲が危険となるため、早急な避難指示が必要です。火に囲まれないことはもちろん、煙に対する注意も促しましょう。

・火事です。
It's fire.
(イッツ ファイアー)
Fire!
(ファイアー!)

緊急度を伝えるため、「Fire! (ファイアー!)(火事だ!)」のみ叫ぶ方法も有効です。

・姿勢を低くして、口と鼻をハンカチで覆ってください。
Crouch down and cover your mouth and nose with a handkerchief.
(クラウチ ダウン アンド カバー ヨー マウス アンド ノーズ ウィズ ア ハンカチフ)

煙に対する注意を喚起するために、「The area is filling with smoke.(ジ エアリア イズ フィリング ウィズ スモーク)(煙が発生しています)」を付け加えても良いでしょう。

・煙を吸わないように気を付けてください。
Be careful not to inhale smoke.
(ビー ケアフル ノット トゥ インヘール スモーク)
避難誘導するときは、代表者が「Follow me! It’s this way.(フォロー ミー!イッツ ジス ウェー)(私についてきてください。こちらです)」とこまめに声掛けを行い、全員が避難できるようサポートします。

また、脱出時は狭い出入口で混乱しないよう、「Please proceed calmly and in an orderly fashion.(プリーズ プロシード カームリー アンド イン アン オーダリー ファッション)(落ち着いて順番に進んでください)」と指示することも大切です。

停電・断水に関するフレーズ

地震や台風のほか、近隣で火災等が発生した場合は停電や断水となる可能性があります。停電はパニック状態となりやすいため、混乱を抑えるためにも早急な状況説明を行いましょう。

・停電しています。
Power is down.
(パワー イズ ダウン)
It is power outage.
(イット イズ パワー アウテージ)

非常灯を有する施設の場合は、「Emergency lights will turn on, so do not panic.(エマージェンシー ライツ ウィル ターン オン, ソー ドゥ ノット パニック)(非常灯が間もなくつくため、落ち着いてください)」もアナウンスすると落ち着かせることができます。

復旧が翌日となるときは、「I guess the power will be back on by tomorrow.(アイ ゲス ザ パワー ウィル ビー バック オン バイ トモロー)(おそらく翌日に復旧すると思われます)」というアナウンスが適切です。

・断水しているためトイレは使用できません。
Toilet is out of order because of water outage.
(トイレット イズ アウト オブ オーダー ベコズ オブ ウォーター アウテージ)

地域一体ではなく建物の異常等による断水の場合、近隣施設を案内すると親切です。「There is ~ near by.(ゼア イズ~ニア バイ)(近隣に~があります)」などのフレーズが活用できます。

交通機関の影響に関するフレーズ

災害時は公共交通機関も混乱しやすいものです。前日の雨や地震によって土砂崩れが発生した場合など後日に影響が現れることもあります。

・電車が運休しています。
Trains are out of service.
(トレーンズ アー アウト オブ サービス)

特定の区間のみ運休しているのであれば、「The train service between (駅名1) and (駅名2) is currently suspended.(ザ トレーン サービス ベトウィーン (駅名1) アンド (駅名2) イズ カレントリー サスペンディッド)」で駅名1から駅名2までの一部区間の運休をアナウンスできます。

・電車の運行が再開されました。
The train is back running.
(ザ トレーン イズ バック ラニング)

現在は運休中で、再開する予定時刻が分かっている場合は「Train service will resume at (時間) o'clock.(トレーン サービス ウィル レジューメー アット (時間) オークロック)」と目安の時間を伝えると親切です。

まとめ

災害時の生存率を上げるためには、被災直後の行動が重要です。日本語の理解が十分ではない外国人はとくに行動が遅れやすいため、英語によるアナウンスや周囲のサポートが欠かせません。

また、自治体によっては、その地域に住む外国人向けに英語やポルトガル語などでの避難勧告を行っているようです。

とくに津波などは経験したことがない外国人も多く、その危険さを理解できない人もいます。そのような外国人に向けて英語やポルトガル語などで避難情報の発信をすることによって多くの命が助かったという事例もあります。

そのほかにも、観光庁の監修によって開発された「Safety tips」というアプリもあります。これは、日本にいる外国人に向けて日本国内における津波情報や地震情報、避難勧告などを通知するためのツールです。

日本語・中国語・英語・ポルトガル語を含む14か国語を搭載しており、さまざまな言語に対応しています。このようなツールを活用するのも良いかもしれませんね。

今回紹介した基本的なフレーズの他にも、救急車「Ambulance(アンビュランス)」や避難所「Shelter(シェルター)」、大使館「Embassy(エンバシー)」などの単語を覚えておく程度でも、災害時には役立つでしょう。

単語程度でもジェスチャーで重要な部分は伝わります。まずは安心させて、適切な行動をとれるようサポートすることを優先してください。

(上記掲載の内容は、掲載日時点のものです。あらかじめご了承ください。)