外国人社員との異文化コミュニケーションにおける3つの問題と対策

外国人社員の雇用によって、職場に新しい考えや視点を取り入れることができた企業は少なくないでしょう。しかし、労働力の確保に加えて海外進出のヒントも得られる一方で、文化の違いによるトラブルも生じやすくなっています。

外国人社員との異文化コミュニケーションに対する課題を抱えたまま、放置してはいないでしょうか。現時点で小さなトラブルのみ起こっている程度であっても、対処しなければいずれ大きなトラブルへ発展する可能性があります。

ここでは代表的な3つの問題とおすすめの対策方法についてご紹介します。

異文化コミュニケーションの重要性

超高齢化社会と出生率低下により、日本の人口は長年、減少傾向が続いています。いわゆる「働き盛り」の世代や将来同じ世代へシフトする若年層の少なさは顕著です。

そのような状況で、外国人労働者の雇用による労働力の確保は軽視できません。海外の人材に長く働いてもらうことが、今後の日本企業の成長には重要となります。

人材を長く自社に留めるために必要な対策の多くは、職場環境の充実、ひいては人間関係に関連するものです。日本人の多くが人間関係を離職理由に挙げるように、外国人労働者もコミュニケーションの問題を理由に離職するおそれがあります。

人間関係を育むうえで欠かせないステップのひとつが、コミュニケーションの円滑化です。外国人との異文化コミュニケーションが円滑に行えなければ、外国人の社員は職場に居心地の悪さを感じるでしょう。

外国人労働者に活躍してもらうためには、異文化コミュニケーションを円滑に行える環境作りが大切です。まずは日本と海外との違いについて社員全員が理解し、生じやすい問題の把握と対策が求められます。

1.文化の違いによる問題と対策

程度の差はありますが、文化の違いは日本国内でも地域レベルで存在します。海外と日本の間にはさらに言語の壁も加わるため、より複雑化しやすいものです。

しかし、異文化コミュニケーションにおいて、互いの文化を尊重することや理解することは最低限必要な過程です。相手の文化を尊重できる職場環境でなければ、外国人労働者はもちろん日本人労働者にとってもストレスとなります。

外国人との間で生じやすい問題の中で、文化の違いや理解不足によるものは、以下の3つです。

宗教理解

宗教の多様性を認めている日本でも、いまだに一部の宗教に対する理解が不十分です。冠婚葬祭に関わる事柄はもちろん、日常的に意識しなくてはならない戒律なども宗教によって大きく異なります。

外国人労働者を雇用するうえで、宗教理解は必要不可欠といえます。職場環境では、以下のような対処を行いましょう。

・食堂で使用する食材への配慮
・お祈りスペースの設置
・宗教的な理由による服装への理解

社員食堂で出すメニューは使用している材料を的確に表示したり、特定の宗教に配慮したメニューを加えたりしてはいかがでしょうか。宗教によっては特定食材のエキスを口にすることも禁じられるため、細かな表示が求められます。

困難な場合は無理に社員食堂の使用を促さず、お弁当の持参を許可するスタイルもおすすめです。ほかにも1日に複数回の祈りを行う習慣のある宗教や、服装に決まりのある宗教も存在するため、雇用する従業員に確認しておくと良いでしょう。

上下関係

国によって上下関係の認識も異なります。韓国など一部地域を除けば、「上下関係」や「年功序列」という概念自体が存在しない場合もあります。 上下関係のない地域では、年齢に関わらず「同じオフィスで働く仲間」という考え方が一般的です。従業員同士は共通の目標やルール(企業理念など)を掲げる仲間ととらえ、日本式の上下関係を強要することは避けましょう。

指導方法

一昔前の日本では、ほかの従業員の前で上司が失敗した部下を怒鳴りつける慣習のある企業が多くありました。いわゆる「パワハラ」として現在では減少傾向にありますが、このような指導方法をとっている企業はゼロではありません。

海外でも現代の日本と同様に、人前で上司が部下に怒る行為は理解されないものです。さらに怒鳴りつけるような注意のしかたでは、「わざと恥をかかされた」「自己否定された」とマイナス的な印象をもたれてしまう可能性があります。

失敗した部下への注意や指導は二人きりで、周囲の社員に聞こえないよう小さな声で行いましょう。

2.仕事への考え方による問題と対策

無意識のうちに行われる日常の習慣の多くは、海外と異なるものです。仕事への考え方も団塊の世代と現代の若年層で違いがあるように、海外と日本でも異なります。

場合によってはあらかじめ社員研修や上司による面談などで指導しておかなければ、トラブルにつながってしまいます。 外国人労働者を雇用するうえで把握しておくべき「仕事の考え方」の違いによる問題や対策は、たとえば以下の2点が挙げられます。

残業への考え方

日本では「残業して当たり前」「残業する人のほうが仕事熱心」などの風潮がいまだに強く残っています。ただし、近年は働き方改革や新たな考え方をもつ経営者の増加により、残業を減らす取り組みを行う日本企業も増えてきました。

海外の場合、プライベートを重視する文化が強く「仕事はあくまで人生の一部」と考えられています。外国人労働者にやむを得ず残業をしてもらう場合は、必要性や残業の規定について正しく伝えることが必要です。

また、残業自体が発生しないよう、職場環境の改善も検討しましょう。

転職への考え方

海外企業の多くは実力主義であり、即日解雇が可能な国や地域も存在します。日本のように一度正社員として就職すれば、大きな問題を起こさない限り雇用が続くとは限らず、転職に対して肯定的です。

そのため、外国人の中には会社に対してとくに不満がない場合であっても、キャリアアップや待遇改善のために転職を積極的に考える方もいます。

このように早期離職につながりやすい文化がある中、優秀な外国人社員を自社に留めるためには、今後のキャリアやビジョンを共有することが重要です。従業員が求めるキャリアと実力に合わせ、適切な人員配置を行わなくてはなりません。

3.言葉の壁による問題と対策

外国人労働者を雇い入れるとき、一番のネックとなる部分が言葉の壁です。

文化の違いは説明することで改善が期待できますが、言葉の壁があると注意事項を伝えること自体が難しくなります。

日本語の表現

言葉の壁が生じる理由のひとつが、日本語ならではの表現方法です。曖昧な表現を無意識に多用する日本人の言い回しは、外国人社員に混乱をきたしてしまいがちです。

・「大丈夫です」という…YES・NOどちらの意味でも使用する
・空気を読むことを求める…言葉で伝えることが誠意とする国もある

代表的なトラブル例は、上記の2点でしょう。日本人同士でも誤解を生みやすい「大丈夫です」という言い回しや、態度や声色で察してほしいという考え方は、外国人社員には特に伝わりません。

指示ははっきりと明確に出し(何時までに完成させてほしいなど)、理由や根拠も言葉にして伝えましょう。

意思疎通が難しい

はっきりというだけでは、伝わらないこともあります。頑張って英語で話しかけても伝わらなかったという経験をもつ方もいるのではないでしょうか。

そもそも言語によって、伝え方自体が異なる場合もあります。丁寧に伝えたつもりが、誤解や不満を生じさせているのであれば、日本語と外国語で言い回しが異なっている可能性も考えられます。

外国人社員に加え、彼らとともに働く日本人社員に対してもコミュニケーションや言語関連の研修を実施しましょう。スクールに通う場合の学習費を負担したり、優秀な翻訳ツールの活用をすすめたりすることも効果的です。

クラウド通訳ではスマートフォンやタブレットで呼び出せる「通訳さん」が、リアルタイムで通訳してくれます。機械翻訳と異なり、カメラを通して状況を把握しながら通訳してくれるため、微妙なニュアンスの違いにも対応可能です。

交渉や相談の多い職種の場合、機械翻訳の活用では限界があるでしょう。伝えたいことを正しく伝えるために、クラウド通訳をぜひ検討してみてください。

まとめ

外国人労働者の雇用や海外企業との取引の場にて、異文化コミュニケーションの必要性を実感する方は多いでしょう。簡単なメール対応であれば機械翻訳や辞書を活用できますが、会話の場合はニュアンスによって意味が異なるため、容易ではありません。

筆談する場合も会話のテンポが崩れるため、本来伝えたかったことを十分に伝えられないまま終わることもあるでしょう。より繊細なことも伝えたい・聞き取りたい方は、クラウド通訳によるリアルタイムでの通訳がおすすめです。

コミュニケーション問題は放置するほどこじれやすく、大きなトラブルに発展することもあります。まずは言語の壁をなくすことから始めてはいかがでしょうか。

 

(上記掲載の内容は、掲載日時点のものです。あらかじめご了承ください。)