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オンライン翻訳はどれくらい正確?翻訳精度を上げる6つのコツ

(更新日:2021.2.10)

国外の企業と取引する際に課題となるのがコミュニケーションです。英語が話せる人材をすぐに確保することが難しい場合、オンライン翻訳ツールの導入を検討している経営者もいるのではないでしょうか。

オンライン翻訳ツールを導入する際に疑問となるのは、本当にビジネスに活用できるのかという点です。そこで今回は、オンライン翻訳の仕組みやツールを利用するメリット・デメリットについて解説します。

オンライン翻訳の仕組み

オンライン翻訳ツールとは、ブラウザー上で翻訳ができるウェブ上のツールです。翻訳の仕組みは、ルールベース型・統計ベース型・ニューラルネットワークの3種類があります。まずは、それぞれの特徴について理解しておきましょう。

ルールベース型

ルールベース型は、多くのオンライン翻訳で用いられており、機械翻訳の中で比較的歴史が長い翻訳方法です。文法と辞書を照合させながら訳文を作成していくので、直訳タイプの翻訳方法となります。

ルールベース型の機械翻訳を作る際には、まず、それぞれの言語の文法をどう組み合わせていくかのベースとなるルールを機械に教えていくのが最初の段階です。

次に、「コーパス」と呼ばれる辞書のような言語データベースを機械に登録し、原文に対応する単語を辞書から引っ張り出して、文の中に当てはめていくという作業が行われます。

なので、この翻訳方法は文章内の単語や文法を切り分けてから、訳する言語で文法と単語をデータベースから持ってきて再構築していくという方法です。

文法がシンプルだったり、ルールベース型の中の文法の組み合わせと同じであったりすれば、ルールベース型の機械翻訳でも正しく翻訳することができます。

統計ベース型

ルールベース型が文法と辞書を切り分けてから翻訳するのに対し、統計ベース型は文書や段落をひとつのブロックとして、訳文のデータベースを作っていくという方法です。

ルールベース型でも「コーパス」が用いられていますが、統計ベース型では、対訳コーパス(パラレルコーパス)が活用されています。対訳コーパスでは、文章レベルでの原文と対応する訳文がデータベースに教え込まれていくため、精度の高い翻訳が可能です。

ただ、すべての文章に対応する訳文を教え込むということはできないので、ベースとなる文章の言語と訳文を参照して翻訳する方法も機械に学習させます。

対訳コーパスに文章レベルの原文と訳語のデータが充実していればいるほど、統計ベース型を使ったほうが自然な翻訳、精度の高い翻訳になるものです。

文章レベルで翻訳することで、慣用句なども正確に翻訳されますし、その言語独特の言い回し、ニュアンスもきちんと伝わる翻訳が可能となります。

ニューラルネットワーク

ニューラルネットワークは、人の脳神経のつくりを模倣した数理的モデルで、機械学習の一種です。


このニューラルネットワークに深層学習であるディープラーニングを取り入れた翻訳技術は、Google翻訳にも活用され、翻訳精度が向上したといわれています。

ニューラルネットワーク翻訳は、文章全体を文脈として捉えることができ、語順や構造が違う言語でも、高い翻訳精度を実現しているのです。

さらに、人がこれまでに翻訳した文章を学習するため、人間が書いたような自然な文章に翻訳できます。とても細かいニュアンスまで反映することが可能とされています。

従来からあったルースベース型や統計ベース型の翻訳ではできなかった、文書単位で候補を見つけることが可能です。画像キャプションの自動翻訳もできるため、今後のオンライン翻訳では主流となるでしょう。

ただ、ニューラルネットワークで高い精度の翻訳ができるとはいえ、まだまだ人の翻訳に至らない部分もあります。

たとえば、人が「トマト」という単語を人が聞けば、実際のトマトを頭の中で想像し、食べ物であることやトマトの色、形、味まで、多くの特徴を思い浮かべることが可能です。

しかし、現状のニューラルネットワークでは、「トマト」の単語のコーパスにある「トマトを食べる」や「赤いトマト」などの文章を元に、ほかの単語とフレーズの関係や、トマト=Tomatoのような対訳関係しか学習できません。

とはいえ、研究が進んでいる分野ではあるので、今後のさらなる進化に期待できるでしょう。

オンライン翻訳ツールを利用するメリット

オンライン翻訳をビジネスに取り入れるかどうか判断する助けとなるのが、オンライン翻訳ツールのメリットとデメリットについて知っておくことです。まずはメリットについて解説します。

手軽に誰でも使用することができる

オンライン翻訳ツールは、基本的に事前登録などが不要なものが多いです。利用するために登録手続きが必要だと面倒に感じるものですが、そのような手間がかからないため、誰でも手軽に使用することができるというメリットがあります。

また、インターネットを介した翻訳を無料で利用することができるので、翻訳にかかるコストを抑えることも可能です。翻訳会社に依頼すると数万円以上かかるような翻訳作業を無料でやってくれるのは、オンライン翻訳ツールの大きなメリットのひとつといえるでしょう。

翻訳のために必要となるコストをできるだけ抑えたいという場合には、オンライン翻訳ツールを利用すると費用を抑えつつニーズを満たすことができます。

ツールによるものの、オンライン翻訳ツールは多言語対応しているものが多くあります。英語圏の国だけでなく、アジアやヨーロッパなどさまざまな国々との取引をする際にも役立つのも特徴です。

スピーディーに翻訳してくれる

オンライン翻訳ツールのほかのメリットとして、スピーディーな翻訳が可能という点も挙げられます。翻訳家に翻訳を依頼する場合は、1日に翻訳できる量が限られていますし、渡した原稿を瞬時に翻訳してもらうというのは難しいものです。

しかし、オンライン翻訳ツールの場合は、スマートフォンやパソコン、タブレットなど、インターネット機器があれば、翻訳したい内容を素早く訳してくれます。知りたい内容がすぐに理解できるので、待たずにスムーズなやり取りが可能です。

オンライン翻訳ツールを利用するデメリット

オンライン翻訳ツールをビジネスシーンで利用することには、デメリットもあります。

誤訳の可能性が潜んでいる

いくらスピーディーに翻訳してくれるといっても、あくまで機械による翻訳のため誤訳の可能性があります。

そのため、ビジネスシーンでの大事な取引をオンライン翻訳ツールでの翻訳に任せてしまうと、取引先との間で誤解が生じるということも起こり得るでしょう。翻訳の正確さという点においては、プロの翻訳家には劣ります。

また、機械翻訳ではニュアンスまでくみ取ることはできません。話の前後の流れなどを考慮に入れた翻訳ができないので、オンライン翻訳ツールを使った翻訳では相手の真意が分からないということもあるでしょう。

通常、会話をする際は、声の調子などから相手の感情もくみ取るものですが、オンライン翻訳ツールではそれもできません。そのため、オンライン翻訳ツールを介したコミュニケーションでは、相手との温度差が生じることもあります。

心理面までは翻訳しきれない

オンライン翻訳ツールを利用する別のデメリットとして、相手の心理面までは翻訳しきれないという点も挙げられます。翻訳者による翻訳では、心理面を考慮に入れた翻訳が可能ですが、機械翻訳ではそれができません。

もちろん、話す側が機械翻訳に配慮したやり取りをするようにすれば、オンライン翻訳ツールを利用することに大きな問題は生じないでしょう。しかしビジネスシーンでは、そういった配慮まで相手に求めることはできないものです。

そのため、機械翻訳においては相手の伝えたいことが正確に翻訳されないということはしばしば生じます。

また、同じ意味のことを伝える場合でも、人によって使用する言葉のチョイスは異なります。よって、同じ意味のことを伝えているのに、機械翻訳では用いた言葉によって違う風に翻訳されてしまうこともあるのです。

このように機械翻訳はあくまでひとつの“ツール”であるため、細かなニュアンスをくみ取ったり、心理面を考慮したりといったことができません。

オンライン翻訳ツールの精度を上げるコツ

日本語は、他国の言葉に比べると独特な文法構造であるため、精度が高いといわれるオンライン翻訳ツールを使用しても、上手く翻訳できないこともあります。

しかし、少し工夫すれば精度を上げられるので、ぜひ実践してみてください。

文章は短く

文章が長くなれば長くなるほど、人と同じようにオンライン翻訳は理解しにくくなります。精度の高い翻訳を実現するために、文章はできるだけ簡潔に切ることを心がけましょう。

たとえば、「コップにコーヒーがたくさん入っているので、急いで飲んでから出かけることにします。」という文章を翻訳したいのであれば、「コップに多くのコーヒーが入っています。飲みきってから外出します。」

このように、長い文章を2つの文に分けるのがおすすめです。

主語や述語はわかりやすく

とくに英語への翻訳は、主語をはっきりさせましょう。はっきりした主語を意識して文章を作ることで、主語を重視する言語である英語は、自然な英訳になります。

さらに、述語にも注目してください。日本語で判断しやすい述語といえば、文末に用いる「です」や「ます」です。

たとえば、「コーヒーは、濃い目が好き」ではなく「コーヒーは、濃い目が好きです」としたほうが、より自然な文章に翻訳されます。

できるだけシンプルな文章で、主語と述語をはっきりさせましょう。

あいまいな表現にしない

日本語では、質問に対する答えにYesやNoではなく、あいまいな回答ができます。たとえば「〜を契約していただけますか?」という質問に対して「こちらとしては、前向きに考えます」とぼんやりした言葉で返事ができるのです。

しかし、これを翻訳しようとすると上手く翻訳されず混乱を招くため、「はい、契約します」や「ごめんなさい、契約はしません」などはっきりとした表現で翻訳するようにしましょう。

ひらがなは漢字に直す

漢字で表現できるものは、ひらがなを用いず文章を作成しましょう。たとえば、「はし」という単語は、「橋」なのか「箸」なのか「端」なのかわかりにくく、誤訳を招く可能性があります。

同音のひらがなでいくつかの意味があるものは、漢字に直しておきましょう。漢字に直せば意味が限定できるので翻訳精度が上がります。

「図る」「測る」「計る」など、動詞の場合も注意が必要です。

文章内にスペースを入れない

文章内にスペースを入れるのは、正しい文法ではありません。たとえば、「今日は 会社で 残業 です」というように、スペースで区切ってしまうと、オンライン翻訳では違う行として認識される恐れがあります。

メール文など、文章を作成するときにスペースを入れるクセがある人は、注意しておきましょう。

翻訳された文章を再翻訳してみる

翻訳した文章を再翻訳することで、自分が正しい文章を書けているかを確認できます。翻訳された文章に違和感がある場合や、意味が通じるか不安な場合は、再翻訳をして確認するのがおすすめです。

再翻訳して、意味が伝わらない文章になっていたときは、単語や表現方法を変えて、もう一度翻訳してみると良いでしょう。

オンライン翻訳ツールの選び方

海外旅行はもちろん、ビジネスシーンや勉強でも役立つオンライン翻訳ツールですが、今ではたくさんの種類がリリースされています。実際にオンライン翻訳を使おうとすると、どれを使えば良いのか悩んでしまう人も多いです。

ここからは、自分に合ったものを選ぶために、3つの項目に分けて選び方をご紹介します。

対応言語数や専門性

オンライン翻訳ツールを選ぶうえで、対応言語数は重要な項目です。オンライン翻訳ツールを使う目的にもよりますが、多くの言語に対応していればさまざまな国の言葉に翻訳できます。

最近では、無料のオンライン翻訳ツールでも対応言語数が多いものが増えてきており、Google翻訳を例に出すと、なんと104ヶ国語に対応しています。

しかし、いくら多くの言語に対応していても、翻訳する文章の専門性を見極めなければ満足できる翻訳はできません。

専門性に関しては、ツールによって得意と不得意が顕著に出る部分です。とくに、医療や製造、法務など、業界用語が多い文章を翻訳するのであれば、あらかじめ目的とする文章表現が翻訳できるのかを確認しておきましょう。

費用

翻訳ツールには、無料で利用できるものと有料のものがあります。できるだけ費用はかけたくないと思うかもしれませんが、無料だからという理由だけで選ぶのはやめましょう。

なぜなら、無料で提供されている翻訳ツールは、精度が低く違和感のある訳し方になる可能性があるからです。また、専門性の高い文章には対応しきれない可能性もあります。

専門性の高い文章や、より正しい翻訳を求めるのであれば、有料の翻訳ツールを選びましょう。有料のものであれば、セキュリティ面が優れていたり、文字数が多くても対応できたりします。

複数の機能を持つツールもあるので、とくにビジネスシーンで使う場合なら、有料の翻訳ツールがおすすめです。

機能

翻訳ツールを選ぶ際は、機能面の利便性についても確認しましょう。

カメラ翻訳機能があるツールなら、カメラで写した文字を瞬時に翻訳できます。海外のレストランのメニュー表はもちろん、街中の看板、送られてきたカタログや資料も、すぐに翻訳できるため便利です。

用語登録機能があるツールなら、よく使用する用語をあらかじめ登録しておけるので、誤訳を後で直す手間がかかりません。

さらに、今後自分でも言語を勉強したいと思っているならば、リスニング機能のあるツールがおすすめです。

日常会話でよく使われるフレーズや単語を、リスニング機能を使って効果的に勉強できます。

まとめ

オンライン翻訳ツールを利用するメリット・デメリット、ビジネスシーンでオンライン翻訳ツールが役立つかどうかまで紹介してきました。

オンライン翻訳ツールには、手軽に利用できる、スピーディーな翻訳が可能であるなどのメリットがありますが、誤訳の可能性があるなどのデメリットもあります。ビジネスシーンでは、どこまでの精度を求めているのかなども検討しつつ、オンライン翻訳ツールを選ぶようにしましょう。選ぶ際にどれにするか迷った場合は、対応言語数や専門性、費用、機能などをポイントにしてみてください。

(上記掲載の内容は、掲載日時点のものです。あらかじめご了承ください。)