はじめやすいインバウンド対策は?導入事例を紹介

インバウンド対策を推進する理由のひとつとなった、中国人による爆買いが収まりつつある近年ですが、訪日外国人観光客の数は現在も増加傾向を見せています。また、中国人が日本へ使う金額もけして激減したわけではなく、アパレルなどジャンルによっては一人あたりの支出額が他国の2倍以上を推移しているほどです。

よって、訪日外国人観光客をターゲットとした販促活動は、今後も日本の各業界にとって重要な手法のひとつと言えます。

ここでは、インバウンド対策を検討している方へ、手軽にはじめやすい方法を実際の導入事例とともにご紹介します。

まず日本のインバウンドの状況から知ろう

インバウンド対策を行うには、まず現状を正しく把握する必要があります。たとえばアジア系のユーザーが集まりやすい業界で欧米人向けの対策を行っても、売り上げに貢献することはできません。

効果のあるマーケティングへつなげるためにも、なんらかの策を講じる前に日本のインバウンド状況について知ることからはじめましょう。

日本に来る外国人の数

訪日外国人観光客や、彼らによる日本への旅行をさす言葉がインバウンド(inbound)です。ここ10年で爆発的な増加を見せ、2009年前後には700万人弱(6,789,658人)程度に留まっていた訪日外国人観光客の数が増加の一途を辿っています。

・2015年…19,737,409人
・2016年…24,039,700人
・2017年…28,691,073人
・2018年…31,191,856人
・2019年…31,882,100人

参考(日本政府観光局「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年)」)
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_visitor_arrivals.pdf

全体的にアジア系の外国人が多く、2019年1月を例にあげれば総数2,689,339人のうちアジア系が2,366,944人と、9割以上を占めたほどです。とくに多いのは中国・韓国・台湾の3か国で、香港・タイが続きます。

インバウンド対策というと、欧米など英語圏の国を想定する方もいるでしょう。しかし実際は上記のとおり、近隣のアジア系諸国より訪日する観光客をターゲットとしたマーケティングが必要です。

統計情報を知るためには

統計情報は、その年によって大きく変動することがあります。また、訪日した人数の推移など全体像だけではなく、消費動向などよりこまかな情報も把握しなければなりません。

現場でのフィーリングも重要ですが、明確な数字に基づいた対策ができるよう、以下の情報源をこまめにチェックすることをおすすめします。

・日本政府観光局(JNTO)
・日本旅行業会(JATA)
・JTB総合研究所

日本政府観光局など、公的なデータを確認したいときにおすすめです。政府が行う各種事業や誘致イベントの進捗についても知ることができるため、インバウンドに関する情報収集を行う方は必ず目を通しましょう。

日本旅行業会やJTB総合研究所は、コラムや海外の情勢など各種レポートも同時にチェックすることができ、リアルタイムで重要な情報のみをピックアップしたい方に最適です。小売業や観光業など、世界情勢の変化にともなう早急な対応が必要となる業種では、一か所ではなく複数の情報源を参考にすることが大切です。

はじめやすいインバウンド対策

インバウンド対策とは無縁だった業界・職種の方は、何からはじめれば良いのか分からないのではないでしょうか。方法によっては効果を実感できるまで一定の期間を要するため、やみくもに導入すると失敗する可能性があります。

この項目では、インバウンド対策を視野に入れている方へ、はじめやすい内容を導入事例に絡めてご紹介します。

海外の文化を理解する

インバウンド対策を行ううえで前提とすべきは、各国で文化やマナーが異なることです。正しく理解していなければ、売り上げが伸び悩むだけではなく不要なトラブルを招くおそれがあります。

・習慣
・マナー
・宗教
・食文化

最低限、これら4つのポイントは理解しておきましょう。

たとえば最も多く訪日している中国人の場合、食事のマナーは少し残すことが正しいとされています。ゲストに満足した状態で帰ってもらうことを是とする中国では、すべて平らげることは物足りないと思っていることを意味するためです。

「お腹一杯でこれ以上は食べられません」とホストに謝意を表すため、わずかな量を残すことが良いマナーとされています。食べ残すことは無礼にあたると考えられている日本とは、真逆の文化です。

このような中国流のマナーを知らないオーナーの場合、「中国人客はいつも料理を残すからマナーが悪い」と勘違いしてしまうでしょう。しかしあらかじめ知っておくことで、マナーの違いと理解したうえで対策を模索することができます。

宗教に対しても、特定の肉を食すことができないことの他、定期的な礼拝を必要とする宗教への理解や対策が評価されることも珍しくありません。

大阪の某大手百貨店の場合、改装にともない特定の宗教へ配慮した礼拝所を館内に設置したことで話題となりました。礼拝所は女性用・男性用に分け、更に聖地の方角が分かるよう案内図も用意するなど、上辺だけではなく宗教を正しく理解した配慮が各所になされています。

多言語に対応する

インバウンド対策で重要度の高いもののひとつが、言語対応です。客層をよく調査し、ニーズに合った多言語化を行いましょう。

WEBサイト・店内の案内・メニューを多言語に対応することで、文化やマナーの違いによるトラブルをある程度軽減することができます。たとえば神社仏閣はアジア圏のみならず、欧米諸国から訪れる外国人観光客にも人気のスポットですが、独自のマナーに戸惑う方も少なくありません。

お参り方法を知りたい訪日外国人観光客に対し、某ベンチャー企業がリリースしたのが神社仏閣のお参りガイドに特化したWEBサイトです。英語と中国語に対応しており、外国人参拝者のマナー向上へ一役買っています。

この事例のように、自社サービスや取扱商品に特化した多言語化で十分です。まずは幅広く活用できる英語から導入してみましょう。効果を実感するようであれば、訪日人数の多いアジア圏の言語も視野に入れてはいかがでしょうか。

最も手軽な方法は多言語対応できる人員の配置ですが、チェーン店など人材確保やコスト的な事情で難しい場合は、思い切って翻訳自体を外注する手もおすすめです。

たとえばクラウド通訳を利用すると、待機している「通訳さん(通訳担当者)」がリアルタイムで応答してくれるため、外国語による円滑な対応が可能となります。

英語や中国語の他に韓国語やタイ語も一度に導入でき、低コストでインバウンド対策したい方に最適です。

外国人観光客はどのようなことを求めているのか

以前は爆買いなどが話題となっていましたが、近年の外国人による購買動向は、モノ消費からコト消費へシフトしています。

多くの人が自由に海外製品を購入できる昨今、「ここでしか買えない」は以前ほどの魅力を維持できなくなりました。一方でコト消費は現地に行かなければ体験できないため、リピーターや新規客の獲得に多大な効果を発揮します。

実際、鉄道会社が行ったアンケートでは家にモノがあふれている(これ以上ものを増やしたくない)という質問に当てはまる・やや当てはまると答えた人が半数を占めました。十分なアイテムを所有している人が多い中、自宅に余計なモノを増やさず素敵な思い出のみを増やすことのできるコト消費は、今後も高い需要が期待できます。

よってインバウンド対策では、コト消費を重点においたマーケティングが必要です。

キャッシュレスに対応する

周辺諸国と比べると、日本のキャッシュレス化は遅れています。災害時への危機感や現金の信頼性の高さなど好意的に見ることもできますが、インバウンド対策としては軽視できない問題です。

中国や韓国では店舗の多くがキャッシュレス対応しており、専用アプリやクレジットカード、デビットカードによる決済が主流となっています。日本国内でも中国の主流アプリやデビットカードに対応する決済代行会社が増加しているため、けして導入は難しくありません。

アパレル業界や飲食店など、日帰り旅行者も多く訪れるジャンルは、とくにキャッシュレス対応の有無が重要です。

コスト面が気になる方は、国による期間限定の補助金制度を活用してはいかがでしょうか。「キャッシュレス・消費者還元事業」ではキャッシュレス化を推進すべく、中小企業を対象とした導入費補助や決済手数料の補助が行われています。複数の審査基準が設けられていますが、多くの業界で導入されている実例があります。

活用することで決済用の端末購入費が実質無料となる場合も多いため、まずは複数の決済代行会社で見積もりを取ってみましょう。

まとめ

インバウンド対策は決済方法や言語、マナーの違いに対する理解など、多角的な対応が必要です。訪日外国人観光客向けの決済方法を導入しているにも関わらず、効果がいまいち実感できないという方は、他のインバウンド対策も試しましょう。

また、中にはメインのターゲット層のニーズとはズレた方向へ進んでいる可能性があります。(韓国人客が多い店で英語のみ対応しているなど)

最適なインバウンド対策を行えるよう、実際に利用している客層をよく研究してニーズに合ったサービス・商品を取り入れてください。必要に応じてクラウド通訳などのサービスを活用することもおすすめです。

(上記掲載の内容は、掲載日時点のものです。あらかじめご了承ください。)